【柔道整復師が解説】肩甲骨の素朴な11の疑問|「はがし」の正体

みなさんどうも

倉敷の柔道整復師が肩甲骨の疑問に答えるブログ記事のあいさつイラスト
こーんにちわーーー!!

倉敷の接骨院で働く柔道整復師の辻です

20年この仕事をしていると、施術中に患者さんから聞かれる質問って、だいたい決まってくるんですよ

なかでもダントツで多いのが「肩甲骨はがし」についての質問です

「先生、肩甲骨はがしってやってもらえます?」
「肩を回すとゴリゴリ鳴るんですけど、これヤバいですか?」
「レントゲンで異常なしって言われたのに、めちゃくちゃ痛いんです」

毎日のように聞かれます

で、この記事で先に言っておきたいことがひとつ

「肩甲骨はがし」で剥がせるものは、そもそも存在しません

いきなり全否定して申し訳ないんですが、これ、悪口じゃなくて解剖学の話です

理由は本文で全部説明します

今回は接骨院の現場で本当によく聞かれる肩甲骨まわりの11の疑問に、大学の研究や病院の公式情報を引っぱってきて、ひとつずつ答えていきます

それじゃ今回も・・・

記事のスタートを告げる「いくぞ!」の掛け声イラスト
出典「ジョジョの奇妙な冒険」荒木飛呂彦

📌 【先に結論】むずかしい話が苦手な人はここだけでOK

  1. 肩甲骨は、もともと背中にくっついていません。だから「はがす」ものは存在しません。正しいのは「動かす」です
  2. 柔らかさより「左右差」を見てください。指が入るかどうかは、健康の物差しにはなりません
  3. 音そのものは心配いりません。分かれ道は「夜、痛くて眠れるかどうか」だけです

✅ 今日からやること

やることかかるお金むずかしさ
背中で握手して左右差をチェックする0円★☆☆
パソコンの画面を目線の高さまで上げる0〜3,000円★☆☆
リュックの中身を体重の10〜15%以内にする0円★★☆
首をポキポキ鳴らすのをやめる0円★★☆
夜間痛が続くなら医療機関で診てもらう数千円★★★

全部やらなくていいです。上から1つだけ選んで、今日やってみてください。それで十分です

📖 この記事でわかること

  • 「肩甲骨はがし」という言葉が、なぜ解剖学的におかしいのか
  • 肩の柔らかさが健康の指標にならない理由と、代わりに見るべきポイント
  • 肩の音・脱臼・首ポキについての、研究や病院の公式見解
  • デスクワークとリュックで肩が痛くなる、本当のメカニズム
  • 「レントゲン異常なし」なのに痛い人が、次にやるべきこと

🗂 目次


Q1. 「肩甲骨はがし」って、いったい何を剥がしてるの?

肩甲骨はがしという言葉が解剖学的に成立しない理由を示すイラスト
肩甲骨は、そもそも”くっついていない”骨です

👉 一言でいうと:剥がすものは、最初からありません

判定は「×」です

これ、施術メニューの名前としてはめちゃくちゃ優秀なんですよ

剥がれそうだし、効きそうだし・・・

でも言葉のイメージと、体の中で起きていることが完全にズレています

肩甲骨は”浮いている”骨です

まず大前提から

肩甲骨は、背骨とも肋骨ともくっついていません

肩甲骨と肋骨のあいだは「肩甲胸郭関節」と呼ばれますが、ここには関節を包む袋も、骨と骨をつなぐ靭帯もありません

つまり構造的な関節ではなく、機能的な関節として扱われます

安定させているのは僧帽筋・前鋸筋・菱形筋群といった筋肉だけです

肩甲骨が体の幹とつながっている唯一のルートは、鎖骨経由

肩峰と鎖骨をつなぐ肩鎖関節、そして鎖骨と胸骨をつなぐ胸鎖関節、この2つだけです

たとえるなら、肩甲骨は背中にマグネットで貼りついているだけの骨

ネジで留まっていないので、剥がすという作業そのものが成立しません

じゃあ、なぜ肩甲骨はがしでラクになる人がいるのか

じゃあ「肩甲骨はがし」を受けて実際にラクになる人がいるのはなぜか

あれは剥がれたんじゃなくて、動いたんです

まわりの筋肉がゆるんで、もともと動くはずだった肩甲骨が本来の可動域を取り戻しただけです

なので言い換えるなら、正解は「はがす」ではなく「動かす」です

ここがポイント:肩甲骨はもともと”浮いている”骨。剥がすのではなく、動かす

Q2. 肩甲骨に指が入る=健康って本当?

肩甲骨に指が入るかどうかは健康の指標にならないことを示すイラスト
指が入るかどうかは、実は物差しになりません

👉 一言でいうと:指が入るかどうかは、健康の物差しになりません

判定は「×」

「先生、私、肩甲骨に指が全然入らないんですけど大丈夫ですか?」
これもよく聞かれます

結論から言うと、指が入るかどうかを健康の指標にできる根拠は、私が調べた範囲では見つかりませんでした

そもそも肩甲骨の下に指を差し込めるかどうかは、筋肉の硬さだけじゃなく、その人の体格・皮下脂肪の厚み・肩甲骨の傾き・検査する人の手の大きさで全然変わります

物差しとしてブレすぎるんですよ

たとえるなら、体が柔らかい人がケガをしないなら、新体操の選手は誰も故障しないはず

でも実際はそうじゃないでしょ?

柔らかさと丈夫さは別物です

そしてもうひとつ大事なこと

無理やり指を突っ込むのはやめてください

硬い状態の肩甲骨に力任せに指を入れると、筋肉を傷めることがあります

「入らない=異常」ではないので、自分で判定しようとしなくて大丈夫です

ここがポイント:「指が入るか」ではなく「両腕を同じように動かせるか」を見る

Q3. 肩は柔らかければ柔らかいほどいいの?

肩甲骨の柔らかさと肩の丈夫さは別物であることを示すイラスト
水泳選手の方は異常に柔らかい・・・でも柔らかい=丈夫ではありません

👉 一言でいうと:全体の柔らかさより「硬くなる場所」が問題です

判定は「条件付きで×」

おもしろいデータがあります

新潟医療福祉大学の研究チームが、競泳選手46名を6か月間追いかけた調査です

肩まわりの筋肉の硬さを機械で測って、その後だれが肩を痛めるかを追跡しました

結果、肩痛のリスク要因として浮かび上がったのは三角筋後部(肩の後ろ側)の硬さ

女性ではこれに加えて小胸筋の硬さも関連していました

つまり、「全身が柔らかいかどうか」ではなく「特定の場所が硬くなっていないか」が勝負ということです

たとえるなら、全身の柔らかさは”平均点”

でもケガをするのは平均点が低いときじゃなくて、1教科だけ赤点のときです

肩の場合、赤点になりやすいのは肩の後ろ側です

だから「肩甲骨をぐるぐる回す」だけじゃなくて、肩の後ろを伸ばすストレッチ(腕を体の前で横に引き寄せるやつ)を入れてほしいんですよ

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リカバリーウェアを柔整師が比較してみた

硬くなった筋肉をゆるめる手段は、ストレッチだけじゃありません。寝ている間に回復させる選択肢もあります

ここがポイント:柔らかさは平均点じゃなく「赤点科目」を探す。肩なら後ろ側


Q4. 背中で手が届く人と届かない人、何が違う?

背中で手が届くかどうかの左右差をチェックする様子
ナンパは背中に手が届かない・・・
出典「ドラゴンボール」鳥山明

👉 一言でいうと:見るべきは「届くか」ではなく「左右で差があるか」です

判定は「条件付き」

やり方はシンプル。右手を上から、左手を下から回して背中で握手

次に左右を入れ替えて、もう一回

ここで大事なのは、届いたか届かなかったかじゃありません

右パターンと左パターンで、どれくらい差があったかです

両方届かない人はけっこういます

それ自体は体質の範囲です

でも右は指が組めるのに左は10cm以上離れているとなると、話が変わってきます

たとえるなら、両方届かないのは”背が低い”

片方だけ届かないのは”片足を引きずっている”

意味がまったく違うんですよ

ちなみにこの動き、肩関節だけでやっているわけじゃありません

肩甲骨の動き、鎖骨の動き、そして背骨(胸椎)のねじれまで総動員しています

だから「肩が硬い」と思っていたら、実は背中が回っていなかった、というパターンもよくあります

ここがポイント:左右で明らかに差があるときだけ、体からのお知らせだと思ってください

Q5. 「肩が強い」って、結局なにが強いの?

肩が強いとはどういうことかを解説するイラスト
答えますよ!
出典「はじめの一歩」森川ジョージ

👉 一言でいうと:強いのは肩じゃなく、足から肩まで続く”つながり”です

野球でよく言いますよね、「あいつは肩が強い」って

でも実際に肩だけを鍛えても、ボールは飛びません

投げる動作の力は、地面を蹴ったところから始まっています

全身を使って投げる動作の連動を示すイラスト
全身を使って投げるのだ!
出典「メジャー」満田拓也

足で地面を押す → 股関節が回る → 体幹がねじれる → 肩甲骨が動く → 最後に腕が加速する

この順番で力がバトンリレーされていきます

たとえるなら、ムチ

手首だけ振ってもピシッとは鳴りません

根元から順番にしなりが伝わって、先端がものすごい速度になる

人間の投げる動作も同じです

これ、空手でも完全に同じでして

私も現役でフルコンタクト空手をやっていますが、腕の力だけで突いても、まったく効きません

効く突きは、床を踏んだ力が腰から肩を通って拳に届いている突きです

肩の力を抜けと言われるのは、そういう意味なんですよ

なので「肩が弱いから肩を鍛える」は、たいてい遠回りになります

ここがポイント:肩は力を”生む”場所じゃなく、”通す”場所


Q6. 肩を回すとゴリゴリ音がする。これヤバい?

肩を回したときにゴリゴリ音が鳴る現象を表すイラスト
ゴリゴリのゴリです!
出典「スラムダンク」井上雄彦

👉 一言でいうと:音だけなら心配いりません。分かれ道は「夜に痛むか」です

判定は「条件付きで◯」

これ、質問ランキングでいったら余裕でトップ3に入ります

音が鳴る理由はいくつかあって、腕を上げるときに肩甲骨と上腕骨が連動して動くバランスが崩れると、引っかかって音が出ることがあります

あとは悪い姿勢で無意識に肩を動かすなどなど多岐にわたります

ここで雑誌などでよく紹介されるのが「肩甲上腕リズム=2対1」という数字です

腕を180度上げるとき、上腕骨が120度・肩甲骨が60度動く、という説明ですね

肩甲上腕リズム2対1を図解したイラスト
教科書に載っている「2対1」。ただし角度で変わります

ただ、これをそのまま信じないでください

2対1はInmanという研究者が報告した古典的な数字で、たしかに教科書に載っています

でもその後、一律に2対1であることを否定する報告がたくさん出ているんですよ

X線透視で調べた研究では、腕を上げ始めの0〜30度では約4.2対1、30度以降は約1.7対1と、角度によってまるで違いました

さらに、腕を下ろした位置から30度あたりまでは肩甲骨の動きが一定にならない区間があり、ここは個人差もかなり大きいとされています

なので正しくは「おおよそ2対1が古典的な目安。ただし角度で変わるし、人によっても違う」です

数字を信じすぎて自分の肩をジャッジしなくて大丈夫

じゃあ、いつ心配すればいいのか

ここが本題です。見るべきは音じゃなく、この2つ

  • 夜、肩が痛くて眠れない(夜間痛)
  • 腕を上げるときに、力が入らない

日本整形外科学会の情報によると、腱板断裂では運動痛や夜間痛が出て、夜間痛で眠れないことが受診する一番の理由になっています

挙げるときに力が入らない、肩の前上面でジョリジョリという音がする、という訴えもあるとされています

たとえるなら、ドアの蝶番がキーッと鳴っても、開け閉めできているうちは壊れていません

開かなくなったときが修理のサインです

ここがポイント:音は気にしなくていい。夜間痛と脱力が出たら医療機関へ

Q7. 脱臼はクセになるって本当?

肩の脱臼を自分で戻そうとする危険な場面のイラスト
こんな治し方ダメだよ!
出典「グラップラー刃牙」板垣恵介

👉 一言でいうと:本当です。ただし理由は「ゆるむから」じゃありません

判定は「◯」

柔道整復師にとって脱臼は本職ど真ん中の領域なので、ここは少し踏み込んで書きます

まず前提として、肩の脱臼は前方脱臼が全体の95〜97%を占めます

年齢で見ると発症のピークは2つあって、10〜29歳の若い男性と、80〜89歳の高齢女性という2峰性になっています

起きているのは”ゆるみ”じゃなく”土手の崩壊”

で、世間では「脱臼するとその部分がゆるむから、またハズれやすくなる」と説明されがちなんですが、実際に起きているのはもっと物理的な破壊です

順天堂大学医学部附属順天堂医院の解説によると、肩の安定性を高めている関節唇や関節包は、脱臼するとこれらの構造が破壊されてしまいます

とくに前方の関節唇が肩甲骨の関節面から剥がれたものをバンカート損傷と呼びます

たとえるなら、肩の受け皿のフチには”土手”があります

脱臼はこの土手を削り取る事故

土手が崩れたままだと、次からは簡単に乗り越えてしまうということです

そして数字が容赦ない

同院の解説では、若年スポーツ競技者の再脱臼率は一般的に約90%とされ、非常に高い再受傷率だと明記されています

10人中9人

「クセになる」どころの話じゃないですよね

なので初回の脱臼をなめないでください

「戻ったからもう大丈夫」で競技復帰するのが一番まずいパターンです

初回脱臼でも手術を検討する場合があるくらい、扱いが難しいケガだと思っておいてください

若い人と高齢者で、やることが真逆になります

教科書的には、若い人は脱臼後にしっかりと固定期間をとり、高齢者は筋力低下や関節が固まるのを防ぐために早期に動かしていきます

同じ「脱臼」でも、年齢でやることが真逆になるんですよ

ここがポイント:ゆるむんじゃなく、土手が崩れる。だから初回の対応がすべて

Q8. 首や肩をポキポキ鳴らすのは体に悪い?

首をひねって鳴らす行為の危険性を示すイラスト
首はマジ危ない!
出典「グラップラー刃牙」板垣恵介

👉 一言でいうと:首は別格です。私はやりませんし、おすすめもしません

判定は、首に関しては「×」です。ここははっきり書かせてください

首をひねって「ボキッ」と鳴らす手技はスラスト法と呼ばれます

テレビやSNSでも見かけますよね

あれをやってほしいと言われることも、正直あります

首をひねる手技には、公式の警告が出ています

でも、2014年に米国心臓協会と米国脳卒中学会が、スラスト法が脳卒中を引き起こす可能性があるとの声明を医学誌「Stroke」に掲載しています

問題になるのは椎骨動脈解離という状態です

専門家の解説では、カイロプラクティックの施術時や、車をバックさせるときの首の急なひねりでも椎骨動脈解離は起きることがあり、首を鳴らすクセがある人も要注意とされています

たとえるなら、指の関節と首の関節を同列に語ってはいけません

首の骨の中には、脳に血を送る血管が通っているからです

指をポキポキ鳴らしても脳には行きませんが、首は行きます

誤解のないように書いておくと、首を鳴らした人が必ずどうにかなる、という話ではありません

確率としてはまれです

ただ、起きたときのダメージが大きすぎる

私は「効くかもしれないけど、まれに重大なことが起きる方法」より、「地味だけど安全な方法」を選びます

20年やってきて、そこは1ミリも譲る気がないです

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首は肩とセットで考える場所です。しびれや頭痛が出ているなら、こちらも読んでおいてください

ここがポイント:首ポキは「効くかどうか」ではなく「万一が重すぎる」から避ける


Q9. パソコン作業をしていると、無意識に肩が上がってくる

デスクワークで頭が前に出て肩が上がる姿勢を示すイラスト
肩上げすぎってか手が上がってる
出典「範馬刃牙」板垣恵介

👉 一言でいうと:上がるんじゃなく、上げて支え続けています

判定は「◯」

しかもこれ、いい研究があります

広島大学の研究で、若年男性19名を対象に、頭が前に出た姿勢(FHP=頭頸部前方位姿勢)の人と、そうでない人を比べたものです

結果はこうでした

  • 頭が前に出ている群は、すべての姿勢で疲労の訴えが強かった
  • 頭が前に出ている群では、僧帽筋上部線維の過剰な筋活動が起きていた
  • 正常群は楽な姿勢がいちばん疲れにくいのに、FHP群はどの姿勢でも疲労度が変わらなかった

たとえるなら、頭はボウリングの球

体の真上に乗っているうちは骨が支えてくれるのでラクなんですが、画面をのぞき込んで頭が前に出た瞬間から、首と肩の筋肉が綱引きで引っぱり続けることになります

だから肩が上がる

そして3つ目の結果が、この記事でいちばん重い話です

頭が前に出るクセがついてしまった人は、座り方を変えても疲労感が変わらなかった

つまり「姿勢に気をつけましょう」だけでは足りない、ということです

ちなみに厚生労働省も「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」で、作業環境を整えることを事業者に求めています

なので現場では、姿勢の指導とセットで環境そのものを変えてもらいます

ノートPCの画面を目線の高さまで上げる、これだけでも全然違います

ノートPCスタンドと外付けキーボードは、肩こり対策のコスパでいうと最強クラスです

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肩が上がりっぱなしの人は、そのまま頭痛に発展することがかなり多いです。心当たりがあるならこちらもどうぞ

ここがポイント:姿勢を気にするより先に、画面の高さを変えたほうが早い

Q10. リュックを背負うと肩甲骨のあたりが痛くなるのはなぜ?

リュックを背負うと肩甲骨のあたりが痛くなる場面のイラスト
通勤リュック、意外と重いんですよね

👉 一言でいうと:押されているのは筋肉じゃなく、神経の通り道です

判定は「◯」

「ストラップが食い込んで筋肉が押されてるからでしょ」と思われがちなんですが、それだけじゃありません

関係してくる神経のルートが、大きく3つあります

①長胸神経ルート(肩甲骨まわりの痛み)

整形外科の解説によると、腕を下に引っぱって肩甲骨を胸郭に押しつけるようにすると、第2肋骨の外側縁で長胸神経が圧迫されることが証明されており、重いリュックを背負ったあとに生じるのはこれが原因の可能性があるとされています

長胸神経は、肩甲骨を胸に押さえつけている前鋸筋を動かす神経です

②腕神経叢ルート(腕のしびれ)

腕へ向かう神経の束は鎖骨と第一肋骨のあいだを通る部分があり、なで肩の人や、リュックなど重い物を背負って肩が下がると、この隙間が狭くなって神経が圧迫されます

これがいわゆるリュックサック麻痺です

③腋窩神経ルート(肩の外側の痛み)

ショルダーベルトのかけ方によっては、肩の出っ張り(肩峰)の内側を通ることがあります

ここは腋窩神経の通り道なので、荷物の重さがそのまま神経への圧迫になることがあると解説されています

リュックで圧迫されやすい長胸神経・腋窩神経・腕神経叢の走行図
リュックの重さで影響を受けやすい神経の走行(長胸神経・腋窩神経・腕神経叢)

たとえるなら、ホースを踏んづけると水が止まるのと同じ

だから肩の痛みだけじゃなく、腕のしびれが出ることもあります

しびれが出ているなら、それは「疲れ」じゃないので放置しないでください

対策は「重さ」と「かけ方」の2つだけ

じゃあ何キロまでならいいのか

諸説あるんですが、研究をまとめた報告では体重の10〜15%を上限にすることが推奨されていて、体重の20%は避けるべきとされています

米国小児科学会も、子どもが背負うリュックは体重の15%以上にしないよう推奨しています

体重目安の上限(10〜15%)避けたい重さ(20%)
50kg5〜7.5kg10kg以上
60kg6〜9kg12kg以上
70kg7〜10.5kg14kg以上
ノートPCと水筒と資料で、意外とすぐ超えます
  • ストラップを短くして、体に密着させる。ダラっと下げると重心が後ろに行き、それを支えるために背中の筋肉が余計に働きます
  • チェストストラップ(胸のベルト)と腰ベルトを使う。肩にかかっていた荷重を、体幹に逃がせます
  • ベルトが肩の出っ張りの内側に食い込んでいないか確認する。③の腋窩神経ルートの予防になります

登山用リュックが必ず腰ベルト付きなのは、飾りじゃないんですよ

肩は荷物を持つようにはできていないので、骨盤に持たせるのが正解です

ここがポイント:重さは体重の10〜15%まで。しびれが出たら我慢しない


Q11. レントゲンで「異常なし」って言われたのに、めちゃくちゃ痛いんです

レントゲンで異常なしと言われても痛みが続く状況を示すイラスト
まぁまぁ怪我してますが・・・画像と痛みは一致しません

👉 一言でいうと:画像と痛みは、そもそも一致しません

判定は「◯」。この記事でいちばん伝えたい話です

接骨院に来られる方で、いちばん多い悩みかもしれません

「異常なしって言われた。じゃあこの痛みは気のせいなの?」と

気のせいじゃないです。そもそも画像所見と痛みは、驚くほど一致しません

逆方向のデータが、それをよく表しています

一般の住民664人を調べた報告では、147人(22.1%)に腱板断裂がありましたが、そのうち65.3%は症状がありませんでした

さらに整形外科医の解説によると、一般住民の調査で腱板断裂があったのは50歳以下で5%、60歳代で25%、70歳代で45%

そして断裂があった人のすべてに症状があったわけではありません

読み間違いじゃないですよ

腱板が切れている人の、3人に2人は痛くないんです

つまり「壊れている=痛い」でもないし、「写っていない=痛くないはず」でもない

画像はあくまで、体の中を見る手段のひとつでしかありません

じゃあ、次に何を確認すればいいのか

ではレントゲンに写らない痛みはどこから来るのか

筋肉や腱の状態、神経の圧迫、動かし方のクセ、そもそも肩以外の場所が原因だった、というケースもよくあります

レントゲンは骨を見る検査なので、骨以外に原因があれば当然「異常なし」になります

大事なのは、異常なしと言われた時点で終わりにしないこと

動かしたときの痛みなのか、じっとしていても痛いのか、夜に強くなるのか

ここを整理していくと原因はだいぶ絞れます

ただしQ6で書いた「夜間痛」と「腕が上がらない・力が入らない」が続いているなら、まず医療機関で診てもらってください

ここは自己判断しないでほしいところです

ここがポイント:「異常なし」は「原因なし」じゃない。痛みは気のせいじゃありません


まとめ|肩甲骨の11の疑問の答え一覧

肩甲骨の11の疑問のまとめを伝えるイラスト
ここまでお疲れさまでした
出典「ドラゴンボール」鳥山明

👉 一言でいうと:肩は「柔らかさ」より「左右差と夜間痛」で見ましょう

質問判定ひとことで
Q1 肩甲骨はがしとは×剥がすものは最初からない
Q2 指が入る=健康×物差しにならない
Q3 柔らかいほどいい×肩の後ろが硬いと痛める
Q4 背中で手が届く条件付き見るのは左右差
Q5 肩が強いとは—強いのは足からのつながり
Q6 ゴリゴリ音条件付き◯音より夜間痛と脱力
Q7 脱臼はクセになる◯土手が崩れるから
Q8 首ポキ×万一が重すぎる
Q9 PCで肩が上がる◯頭の重さを支え続けている
Q10 リュックで痛い◯神経の通り道が狭くなる
Q11 異常なしなのに痛い◯画像と痛みは一致しない
保存しておくと、次に迷ったとき役に立ちます

肩の話って、なぜか「柔らかさ」ばかりが注目されるんですが、20年やってきた実感でいうと柔らかい人が丈夫なわけじゃないんですよ

見るべきは左右差、そして夜に痛むかどうか

この2つだけ覚えて帰ってもらえたら、この記事は成功です


💬「うちの場合はどうなの?」に答えます

ここまで読んで、たぶんこう思った人がいるはずです

  • 左右差、あった。で、これどうすればいいの?
  • 「異常なし」って言われたけど、痛みは全然引いてない
  • ストレッチはやってる。やってるのに変わらない
  • 接骨院に行くほどなのか、様子を見ていいのか、判断がつかない

ここから先は、記事だと一般論までしか書けません

肩は人によって原因が全然違う場所なので、あなたの状況を聞かないと「まず何を確認すべきか」が言えないんですよ

なのでLINEを開けています

20年で数えきれないほどの肩を診てきた人間が、直接お返事します

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That’s all I want to say today

I love you for reading till the end

それじゃ・・・

「またな」と別れの挨拶をする締めくくりのイラスト
またな^^
出典「ドラゴンボール」鳥山明

書いてる人

倉敷の柔道整復師でフルコンタクト空手の現役選手 辻英辰の近影
倉敷で臨床20年、今も試合に出ています

広島県の福山・岡山県倉敷で筆者は「柔道整復師(国家資格)」「フルコンタクト空手の現役選手」として、身体の不調や痛みの原因を根本改善させるために、今まで数多くの患者さんの施術を行なってきました。そんな中、筋肉やトレーニングだけでなく、栄養や生活習慣の面からも改善しないと根本的な回復につながらないと考え研究を行っています。「運動・休養・栄養」の3つの柱で患者さんの生活の質の向上を考え活動中です。海原雄山・北大路魯山人と並ぶ自他ともに認める美食家。

「最終的にはどうせうまくいく」と思い込む人が運を掴む・・・

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    “【柔道整復師が解説】肩甲骨の素朴な11の疑問|「はがし」の正体” に対して2件のコメントがあります。

    1. ichi より:

      首が辛くなると鳴らしたくなりますが我慢してます。ずっとパソコンしていると私も肩が(⁠。⁠ノ⁠ω⁠\⁠。⁠)少し高さの調整してみようと思います🎶

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