試合の強い味方!カーボローディングの注意点

出典「ドラゴンボール」鳥山明
試合の時なんだか力がでねぇ・・・
逆になんだかいつもより疲れないぞ!!
そんな時ってありますよね
その正体が前日までに食したもので決まってしまっているとしたら面白くないですか?
そして、毎回試合前に同じような食事ルーティンを行えば本番でのパフォーマンスを安定して高いものにできるとしたらどうでしょうか?
今回の記事が少しでもあなたの勝率を上げる手助けになるかもしれません
そんなわけで今回は「カーボローディング」という方法について深掘りしていこうと思います
過去の記事でも軽く「カーボローディング」について触れているのでこちらも見てみるといいかもしれませんね
今回もなんだかマニアックな記事になってしまいましたが・・・響く人には響くと思うしかないね笑
それじゃ今回も「いくぞ!」

- カーボローディングって?
- カーボローディングの目的とは?
- グリコーゲンの役割と体内での働き
- 旧式カーボローディングの問題点
- 進化した最新カーボローディング法
- 成功するための食事スケジュール
- ボディビルダーにおけるカーボローディングの応用
- アスリート(マラソン・格闘技など)における実践法
- よくある失敗例と対処法
- 水分・ナトリウムバランスの重要性
- カーボローディングの誤解と真実
- コンテスト(試合)直前調整での注意点
- まとめ:パフォーマンスを最大化するために
カーボローディングって?

- 「大会前に炭水化物をたくさん食べるといい」
- 「レース前はパスタを山盛り食べる」
- 「大会前はご飯でお腹をパンパンにする」
そんな話を聞いたことがある人も多いと思います
これは、スポーツ界では定番となっている**「カーボローディング(Carbo Loading)」**という方法です
カーボとは炭水化物(Carbohydrate)の略
つまり「炭水化物を体にたっぷりチャージしておく」という意味です
マラソンやトライアスロン、ボディビル大会、格闘技の試合など、長時間のパフォーマンスが求められる競技では、エネルギー源の枯渇=失速につながります
ランニング、水泳、サイクリングといった持久系スポーツで終盤に「足が動かなくなる(ハンガーノック)」経験をしたことはありませんか?
これは、筋肉や肝臓に貯蔵されていたグリコーゲンが枯渇したサインで、カーボローディングは、このエネルギー枯渇を遅らせ、パフォーマンスを劇的に向上させる切り札となります
また、ボディビルダーやフィジーク選手にとっては、筋肉をより大きく、張りのある状態に見せるための**「カーボアップ」**戦略としても不可欠ともいわれています
そのため、「事前にグリコーゲン(体内の糖質)を満タンにしておく」ことが非常に大切なのです
カーボローディングの目的とは?


人の体は、炭水化物を食べるとグリコーゲンという形で筋肉と肝臓に貯め込みます
これが運動時のメインエネルギーになります
マラソンを走るとき、最初のうちは脂肪よりもグリコーゲンを使って走っています
しかし、体内のグリコーゲンが尽きると、体は脂肪燃焼に切り替わる――
その瞬間に起こるのが、有名な「30kmの壁」です
カーボローディングは、この“壁”を回避するためのテクニック
大会前にグリコーゲンを通常よりも多く貯めておくことで、最後までエネルギー切れせず走りきることができるのです
グリコーゲンの仕組みと役割

グリコーゲンは、体の中でガソリンのような役割を果たしています
筋肉の中に貯蔵されたグリコーゲンは、筋肉を動かす直接の燃料といってもいいでしょう
一方、肝臓にあるグリコーゲンは血糖値を一定に保ち、脳へのエネルギー供給を助けています
一般的に筋肉に約300〜400g、肝臓に約70〜100g程度しか貯めておけません
しかしカーボローディングを行うと、最大で2倍(800〜1000g)まで貯めることができるといわれています
この差が、パフォーマンスの“持久力”を左右します
昔ながらの「古典的カーボローディング法」の問題点
出典「ペンギンの問題」永井ゆうじ
昔は「 depletion(枯渇)」→「loading(補充)」という2段階で行う方法が主流でした
まず数日間、糖質をほとんど摂らずに筋グリコーゲンを枯渇させ、その後に大量の炭水化物を摂って急激に満たす・・・というやり方です
枯渇期(3日間):
- 徹底した高強度トレーニングで体内のグリコーゲンを使い果たす
- 同時に、食事から炭水化物を極端に制限し、グリコーゲンの合成を抑制する
充填期(3〜4日間):
- トレーニングを休止または軽負荷にし、食事で高炭水化物を大量に摂取する
理屈としては「一度空にした方が、貯蔵効率が上がる」という考え方でしたが、実際はこの方法、かなりハードです
- トレーニングでの疲労感が強すぎる
- 集中力が落ちる
- 免疫力が下がる
- イライラ・体調不良になる
など、デメリットが多く、現在ではもっと穏やかで安全な方法が主流になっています
現代版・安全なカーボローディング法

現在推奨されているのは、試合の3日前から徐々に炭水化物の比率を高めていく方法です
普段の食事で炭水化物を「体重1kgあたり7〜10g」くらい摂取すると良いとされています
例えば体重70kgの人なら、
👉 1日あたり約500〜700gの炭水化物(ごはんなら茶碗8〜10杯分相当)です
まぁまぁ食べるよね・・・
もちろん、急にこれを食べるのはきついので、段階的に増やすのがポイント
脂質を減らして、炭水化物の割合を高めていくことで、消化負担を減らしながらグリコーゲンを満タンにできます
古典的なカーボローディングの教訓:精製炭水化物は必須ではない
古典的な方法が提唱された当初、充填期には「白米、パン、パスタ、砂糖など」の精製された高GI(グリセミック・インデックス)の炭水化物を推奨していました
これは、消化・吸収が速く、血糖値を急激に上げることで、グリコーゲンを速やかに補充できると考えられたからです
ただぁ!!

「炭水化物源は必ずしも精製物である必要はない」ことがわかっています
ブドウ糖を豊富に含むデンプンであれば、どのような炭水化物でも体内のグリコーゲンに変換されます
結論、極端な高GI食にこだわる必要はなく、むしろ食物繊維が豊富で消化吸収が緩やかな、玄米、全粒粉、芋類、豆類など(低GI食品)を充填期の初期に活用することで、血糖値の急激な乱高下を防ぎ、インスリン感受性を安定させた状態で、持続的にグリコーゲンを合成させることができます
玄米が最高な話はこちらに記載
理想的なスケジュール例(大会3日前〜当日)
| 日数 | 食事内容の目安 |
|---|---|
| 3日前 | 炭水化物:50%、たんぱく質:30%、脂質:20% |
| 2日前 | 炭水化物:60%、たんぱく質:25%、脂質:15% |
| 前日 | 炭水化物:70%、たんぱく質:25%、脂質:5% |
| 当日朝 | 消化の良い炭水化物を中心に(おにぎり・バナナなど) |
ポイントは、「満腹まで食べる」よりも、「1日の中でこまめに摂取する」こと
1食でドカ食いすると消化が追いつかず、体が重くなります
| ステップ | 期間 | トレーニング | 食事戦略 | ポイント |
| 準備期 | 試合の7日前まで | 通常通り | 炭水化物:体重1kgあたり5g程度(通常食) | この期間の「水・ミネラル」摂取が充填の鍵! |
| 充填期 | 試合の3日前〜前日 | 完全休養 or 軽いウォームアップのみ | 炭水化物:体重1kgあたり8〜10g | 炭水化物だけでなく、水分、カリウム、マグネシウムを意識的に摂取。 |
| 前日 | 試合の1日前 | 完全休養 | 炭水化物:体重1kgあたり8g | 脂質・食物繊維を減らし、消化しやすいものを選ぶ。 |
現在、多くのアスリートが取り入れているのは、枯渇期を設けない、または非常に短期間(1日程度)に限定する方法です
この方法では、体調を崩すリスクが低く、パフォーマンスのピークを合わせやすいというメリットがあります
失敗しないための科学:水とミネラルは超重要!
カーボローディングの成功は、単に炭水化物の量で決まるわけではないのです
グリコーゲンは水分と結合して貯蔵されるため、カーボローディングを行うと、水の貯蔵量も大幅に増加します
肝臓と筋肉のグリコーゲンを増やすためには、水分、電解質(カリウム、マグネシウム)を補給することが非常に重要になります
「体内のカリウム・マグネシウムが十分でないと、炭水化物を細胞に取り込む働きや、体液のバランスを保つ働きが妨げられる可能性がある」
ここからはマニアックな話・・・
グリコーゲン1gあたり、体は約3gの水を抱え込みます
つまり、グリコーゲンを増やすことは、体内の水分量と密接に結びついています
充填期に水分やミネラル(特にカリウムとマグネシウム)が不足すると、せっかく摂った炭水化物が効率よくグリコーゲンとして貯蔵されません
- カリウム:筋肉細胞への栄養素の取り込み、体内の水分バランスの調整に関与
- (補足:バナナ、アボカド、ほうれん草、海藻類などに豊富)
- マグネシウム:エネルギー代謝(ATPの生成)やインスリンの働きをサポート
- (補足:ナッツ類、種実類、ダークチョコレートなどに豊富)
カーボローディングは、「高炭水化物食」であると同時に、「高水分・高ミネラル食」であることを意識しましょう
ボディビルダーにとってのカーボローディング

出典「バキ」板垣恵介
コンテスト直前のボディビルダーも、このテクニックをよく使うと聞きます
目的は「筋肉をパンプアップさせ、ハリを出す」こと
糖質を摂取すると筋肉内のグリコーゲンが増え、それに伴って水分も一緒に取り込まれます
その結果、筋肉がふっくらとしてカットが際立ち、理想的なステージコンディションになります
ただし、摂りすぎると水分を溜めすぎて“むくみ”が出ることも
流れはこんな感じ
- 水抜き・塩抜き:大会数日前から行い、皮下(皮膚の下)の水分を極限まで減らす
- インスリン戦略:コンテスト前日〜当日にかけて、インスリンを意図的に分泌させる(高GI炭水化物と、タンパク質を一緒に摂る)ことで、筋肉へグリコーゲンと水分を一気に引き込む
- 注意点:カーボアップに失敗すると、筋肉ではなく皮下に水分が溜まり(浮腫み)、体がぼやけた印象になってしまいます。そのため、脂質を極力抑える(グリコーゲン貯蔵時に体脂肪への変換を防ぐため)ことが重要です
この微調整こそが、ビルダーの腕の見せどころです
アスリートにおける実践法(マラソン・格闘技など)

マラソン選手やトライアスリート、ボクサー、格闘家などもカーボローディングを取り入れています
特に減量後のリカバリー期間には、グリコーゲンの再補充+体調の安定化が不可欠です
試合3〜5日前から、徐々に炭水化物を増やしながら水分とナトリウムも一緒に摂取
バナナ、白米、うどん、ジャガイモ、はちみつなどの消化の良い糖質源がおすすめです
最近の主流の短期間・低負荷でのカーボローディング(試合3日前戦略)
| ステップ | 期間(試合を日曜日とする) | トレーニング | 食事戦略 | 炭水化物量(体重1kgあたり) |
| 準備期 | 月〜木 | 通常通り | 炭水化物:体重1kgあたり5g程度(通常食) | 5g |
| 充填期(高カーボ開始) | 金曜日(試合2日前) | 完全休養 or 軽いストレッチのみ | 高カーボ食(低GI中心)、脂質・タンパク質をやや抑える | 8〜10g |
| 充填期(ピーク) | 土曜日(試合前日) | 完全休養 | 高カーボ食(低GIと高GIをバランスよく)、脂質・食物繊維を減らす | 8〜10g |
| 当日 | 日曜日 | 試合 | 試合3時間前に消化の良い高GI食(ジェル、バナナなど) | 1〜2g |
具体的な食事の選択
| タイミング | 推奨される炭水化物源 | 避けるべきもの |
| 充填期の初期 | 玄米、全粒粉パスタ、オートミール、サツマイモ、バナナ、豆類 | 揚げ物、高脂肪な肉類、大量の食物繊維(胃腸の負担になる) |
| 試合前日 | 白米、うどん、白いパン、皮を剥いたジャガイモ、餅 | 脂質の多いラーメン、食物繊維が豊富な野菜・きのこ類、乳製品(人による) |
よくある失敗パターン

出典「スラムダンク」井上雄彦
- 糖質を摂りすぎて体が重くなる
→量を増やしすぎず、消化しやすい炭水化物を選ぶ - 脂質を減らしすぎてエネルギー不足に
→ある程度の脂質(5〜10%)は残す - 水分摂取が少なくてグリコーゲンが貯まらない
→水分と塩分を同時に意識 - 低GIばかりにこだわる
→直前は高GI(白米、ジャガイモなど)もOK
水分とナトリウムのバランス

カーボローディングでは、糖質1gあたり約3gの水分が筋肉内に蓄えられます
そのため、水分摂取が少ないと貯蔵効率が悪くなります
また、ナトリウム(塩分)は水分保持を助けるので、適度な塩分補給も重要です
特に試合前に塩分を抜きすぎると、筋肉の張りがなくなるだけでなく、パフォーマンスも落ちます
カーボローディングは「炭水化物を食べるだけ」ではない

出典「ドラゴンボール」鳥山明
たとえば、睡眠不足やストレス過多の状態では、インスリン感受性が下がり、糖が筋肉に入りにくくなります
つまり、いくら炭水化物を摂っても、うまく貯められないのです
だからちゃんと寝ることをお勧めします(悟空もちゃんと寝てるしね)
多くの人が誤解しがちなのが、「カーボローディング=たくさん食べること」ではないという点
正しくは、「エネルギーを最大限に貯める準備を整える」ということです
最新研究が示すポイント
| タイミング | 推奨される炭水化物源 | 避けるべきもの |
| 充填期の初期 | 玄米、全粒粉パスタ、オートミール、サツマイモ、バナナ、豆類 | 揚げ物、高脂肪な肉類、大量の食物繊維(胃腸の負担になる) |
| 試合前日 | 白米、うどん、白いパン、皮を剥いたジャガイモ、餅 | 脂質の多いラーメン、食物繊維が豊富な野菜・きのこ類、乳製品(人による) |
近年の研究では、以下のような条件がカーボローディング成功のカギとされています
- 運動量を徐々に減らしながら炭水化物を増やす
- 炭水化物の種類はシンプルな糖質を中心に(白米・うどん・ジャガイモなど)
- ビタミンB群を同時に摂取することで代謝効率が上がる
- トレーニング後30分以内の糖質摂取がグリコーゲン補充に最適
コンテスト(試合)直前の注意点

出典「スラムダンク」井上雄彦
体質や筋肉量によって、炭水化物の吸収効率は異なります
「同じ量を食べても体が重くなる」「お腹が張って苦しい」という人もいます
そのため、本番前に一度“リハーサル”として試しておくのがおすすめ
大会1〜2か月前に同じ条件で試し、体調や体重の変化をチェックすると安心です
まとめ
正しく準備すれば、最高のパフォーマンスが待っている
カーボローディングは、単なる「食事法」ではなく、「試合に向けた戦略」である
正しい知識で実践すれば、最後までエネルギーが切れず、最高のパフォーマンスを発揮できます。
覚えておきたいポイントは以下の通り
✅ 炭水化物を段階的に増やす
✅ 水分・塩分をしっかり摂る
✅ 消化の良い食材を選ぶ
✅ 体に合う方法を事前にテストする
体は食べたものでできています
「エネルギーの貯金術」を味方につけて、あなたの本番を成功に導きましょう
That’s all I want to say today
I love you for reading till the end
それじゃ・・・

書いてる人

著者近影
広島県の福山で筆者は国家資格である柔道整復師として身体の不調や痛みの原因を根本治癒させるために、今まで数万人の患者さんの治療を行なってきました。そんな中、筋肉やトレーニングだけでなく、栄養や生活習慣の面からも改善しないと根本治癒できないと考え研究を行っています。「運動・休養・栄養」の3つの柱で患者さんの生活の質の向上を考え治療活動中です。海原雄山・北大路魯山人と並ぶ自他ともに認める美食家。
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