熱中症や急な怪我の対処方法を柔道整復師が解説する
夏真っ盛り
みなさんいかがお過ごしでしょうか?
美食家としての一面ばかりピックアップされてしまっている筆者ですが、実は治療家としてもいろいろやっていることをみなさんご存知でしょうか?
そんな治療家である筆者が今回スポーツ競技の救護などに行く際に心がけていることを記事にしてまとめてみましたのでここに記しておこうと思います
ケガなんていつ起こるかわかりませんから、今回の記事を参考にして急なケガが起こってしまった時にどう対応したらいいのか?ってことを少し考えてみるのもいいかもしれません
知らないよりは知ってる方がいいですからね
今回は夏ということもあって、熱中症についても語っているのでそちらも要注目です
それじゃ今回も・・・

目次
- 頭部や顔面の怪我が起こったらどうする?
- 熱中症・日射病の応急処置と予防
- 胸部・腹部の打撲や首のケガ
- ひどい出血の応急処置
- 骨折・脱臼かもしれない場合の処置
- 受傷後の怪我の経過と早期回復の注意点
- まとめ
頭部や顔面の怪我が起こったらどうする?

出典「セクシーコマンドー外伝!すごいよマサルさん」うすた京介
頭部や顔面部のケガは命に関わることも結構あるので注意が必要です
そんな中で筆者自身は以下の5つの項目をチェックするようにしています
- 意識の有無をチェックする
- 麻痺の有無をチェックする
- 出血の有無をチェックする
- 痛みの有無をチェックする
- 応急処置について
意識の有無をチェックする

出典「修羅の門」川原正敏
怪我をした人とのコミュニケーションがとれるかどうか?を確認します
パッと見意識があるような感じがしても、話してみるとよく分からないことを言っていたり、自分が誰だか分からなくなっていることもあるので、注意深く観察します
硬膜外血腫など頭の中で出血している時など、受賞時は意識がはっきりしていても後で意識がなくなることがあります

出典「メジャー」満田拓也
一見大丈夫そうに見えても「脳しんとう」を起こしていることもあるので、競技復帰の判断は慎重に行うことが重要です

「競技者が戦りたい」とか「止めたら殺す」っていっても危なかったら止めないとダメです

麻痺の有無をチェックする
手足に麻痺がある場合、脳や脊髄の損傷が疑われます
麻痺がないようでも、自分の指を鼻に持っていく(鼻指試験)、目を閉じて立つ(閉眼起立)、片足立ちなどを行わせて平衡感覚を検査します

小脳の機能、特に上肢の協調運動を評価する神経学的検査です。患者に自分の指で検査者の指と自分の鼻を交互に触ってもらい、その動きを観察します。運動の正確さ、滑らかさ、振戦の有無などを評価します。
出血の有無をチェックする

出典「修羅の門」川原正敏
鼻や耳からの出血があり、血に透明な液が混ざっていると、頭蓋骨の骨折で髄液が流出している可能性があります
目の周囲に出血がある時は、物がぶれずにしっかり見えるかを確認します
視力が落ちていたり、物が二重に見える場合は頭蓋骨の骨折の疑いがあります
痛みの有無をチェックする

出典「アキラ」大友克洋
激しい頭痛がいつまでも続く場合も脳の損傷が疑われます
応急処置について
これらの症状現れた場合は、速攻で脳神経外科等の診察ができる病院に搬送しないといけません
搬送できる状態になるまで安静にしておきましょう
呼吸や脈拍に異常がある場合は、すぐに救命処置を行わないといけません
会場や出先でできることといったら「救急車を呼ぶ」ことくらいです
躊躇って救急車を呼ぶのが遅くなると取り返しのつかないことになるので、毅然とした態度で対応しましょう
熱中症・日射病の応急処置と予防

暑いところでスポーツ活動を行っていると熱中症が起こりやすくなります
みなさんご存知かと思いますが、熱中症は、熱疲労、熱けいれん、熱射病などの症状の総称です
人間の体は、運動をすると大量に熱を発生し、汗を出すことによって熱を体外に逃します
体温が上がると上昇した体温を下げるために皮膚や筋肉に血液が増えて、頭などに血液が回らなくなりめまいを起こす「熱疲労」が起こります
「熱疲労」の症状は以下の通り
- 軽いショック症状
- 全身の脱力感
- 強い倦怠感
- 顔面蒼白
- 血圧低下
- 脈拍微弱
- 発汗多量
- 皮膚湿潤
- 頭痛
- めまい
- 嘔吐・・・etc.
また汗で体の中の塩分が不足して全身の筋肉がつりやすくなり「熱けいれん」が起こります
特に手足の筋肉や腹部の筋肉に、突然激しい痛みを伴うけいれんが起こります
運動中だけでなく、運動後の休息時や入浴中に起こることもあるので油断できないですよ
さらにひどくなるとショック症状となり、適切な処置をしないと死に至る「熱射病」などが起こります
- 体温の異常上昇
- 全身の脱力感
- 倦怠感
- 嘔吐
- 頻脈
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 発汗停止
- 皮膚紅潮乾燥
- 手足の運動障害
- 視力障害
- けいれん
- 昏睡状態
などの症状が現れます
応急処置

- 着衣をゆるめる
- 涼しいところで体温を下げる、濡れタオルをかけて扇ぐ、首・脇の下・脚の付け根などの太い血管のある部分に氷やアイスパックを当てる
- 頭を低く、足を高くして休ませ、手足を抹消から中心部に向けてさする
- 経口補水液を飲む
- 吐き気などで水分補給が出来ない場合は病院に運び、点滴を受ける
- 意識がおかしい場合は救急車を呼ぶ
予防方法
- 暑い時に無理な運動は行わない。
- 環境条件に応じた運動、休息、水分補給が必要
- 急に暑くなる時期には運動を軽減し、暑さに徐々に体を慣れさせる
- 水分の補給の徹底。運動前や運動中の水分補給。スポーツドリンクなど、0.2%程度の食塩水が適当。
- 吸湿性や通気性の良いウエアの着用。
- 体調が悪い時の運動を避ける。体力のない人、肥満、暑さに弱い人は注意が必要。
胸部・腹部の打撲や首のケガ

出典「はじめの一歩」森川ジョージ
コンタクトスポーツなどで、胸を打ちつけた時に、肋骨を骨折するだけならまだいいですが、ひどくなると肺が膨らまずに呼吸困難になることがあります
また、腹部を打撲した後いつまでも強い痛みが持続する時は、内臓の損傷を疑わないといけません
また、ひどく首を痛めた時、手や背中に激痛やしびれが生じると首の神経を痛めている可能性があり、病院での精密検査の必要があります
余談ですが、心臓震盪という言葉をご存知でしょうか?
心臓震盪とは、胸部への衝撃によって心臓が停止してしまう状態を指します
特に、スポーツ中の事故で健康な子供や若年層に起こりやすく、野球のボールが当たる程度の弱い衝撃でも発生することがあります
衝撃の力で心臓が停止するのではなく、心臓の動きのタイミングと衝撃が重なることで、心室細動という危険な不整脈を引き起こすことが原因とされています
フルコタクト空手でも、胸部を殴るとごく稀に起こることがあるので、急に動きが止まってしまう人がいたら気をつけないといけません
ひどい出血の応急処置

出典「バキ」板垣恵介
受傷部からの出血は、傷口をしっかりと観察し、適切な処置を行いましょう
- 土などで汚れている場合は、きれいな水(水道水で良い)で軽く洗浄後消毒しましょう
- 出血がひどい時は清潔なガーゼで傷口を圧迫する。結構な出血でも4〜5分の圧迫で出血が止まることが多い
- 圧迫していても血が溢れ出る場合は、上腕部や大腿部など傷口より心臓に近い部分を布などで縛る。縛ったところより先に血液が行かなくなるので、速やかに医師の診察を受けよう。
骨折・脱臼かもしれない場合の処置

出典「グラップラー刃牙」板垣恵介
腫れや変形がひどい時は骨折や脱臼の疑いがあります
骨折が疑われる時はそのまま安静にするか、もし固定できるようなものがあればそっと固定し、速やかに医師の診察を受ける必要があります
どっかの高校の監督みたいに、医学的な知識がないのに整復動作を行う事は血管や神経を痛める可能性があるので非常に危険なのでやめましょう
こんな治し方しませんよ
受傷後の怪我の経過と早期回復の注意点

通常、ケガが起きた直後は痛みが激しく、時間が経つにつれて徐々に痛みが楽になっていきます
その段階に合わせた処置が早期回復のポイントとなります
スポーツ障害の多くは、関節、筋肉、骨、靭帯、神経などの運動器の損傷です
痛みが激しい場合や原因がはっきりしない場合は必ず医師の診察を受けることが重要です
「この程度なら大丈夫やろ」
「おそらく軽い〇〇だから大丈夫だろ」
などという自己判断には注意が必要です
怪我をして試合や練習に出られなくなると、早く競技復帰したい気持ちが強くなり、焦りますよね
怪我の状態をしっかり把握せずに痛みがなくなると同時になんとなく競技に復帰するのは危険なのです
怪我をする前の筋力や柔軟性、関節可動域を回復させておくことをお忘れなく
受傷直後は「急性期」と呼ばれ、痛みも激しく、症状もどんどん変化していきます
まずは応急処置として「RICE(ライス)処置」などを行い、激しい痛みや炎症がなくなるまで患部を安静に保つことが重要です

急性期を乗り越えると、症状が安定して患部の機能の回復を図る「回復期」に入ります
以前は痛めた部位のストレッチはやってはいけないとされていましたが、症状によっては安静期間が長くなることで、筋肉が硬くなり、回復に時間がかかるため、患部に負荷がかからないように医師や整骨院の先生の指導管理のもとに軽いストレッチなどを行うことが早期回復につながると考えられています
痛みがなくなったところから、再発の予防や本格的な体力の回復を目指します
準備不足のままプレーすると、また同じ所を傷めたり、ケガをした所をかばうことで違う所を痛める可能性があります
医師や整骨院の先生の確認の上で競技復帰することが大切です
怪我をする前のように完全復帰するためには、以下の3ステップを踏みましょう
- 関節可動域が正常の範囲になっているのか?
- 筋力や柔軟性などが受賞前の状態に戻っているか?
- ためらいなくケガをする前と同じプレーができるかを事前に確認する
関節可動域と筋力に関しては左右の違いを見ながらチェックするとわかりやすいでしょう
これらのリハビリトレーニングを一定期間行ってやっと競技復帰となりますので、くれぐれも焦ってケガを再発させないようにしないといけませんよ
まとめ
いかがだったでしょうか?
筆者自身が競技の救護に入る際に気をつけていることをざっくりまとめてみましたが、こんな感じです
熱中症などの処置など一般的な人にも応用可能だと思いますので、是非活かしてもらえるといいと思います
誰だってケガをしたりぶっ倒れているとビビって動けないものです
でも、あの時見たあの方法があればなんかの役に立つと思いますのでお役に立てると幸いです
That’s all I want to say today
I love you for reading till the end
それじゃ・・・

書いてる人

著者近影
広島県の福山で筆者は国家資格である柔道整復師として身体の不調や痛みの原因を根本治癒させるために、今まで数万人の患者さんの治療を行なってきました。そんな中、筋肉やトレーニングだけでなく、栄養や生活習慣の面からも改善しないと根本治癒できないと考え研究を行っています。「運動・休養・栄養」の3つの柱で患者さんの生活の質の向上を考え治療活動中です。海原雄山・北大路魯山人と並ぶ自他ともに認める美食家。
現状維持は成長と学びを放棄しているだけ、それで人生が良くなるわけがない・・
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