最近のストレッチの常識を考える「後編」
最近のストレッチの常識を考えるシリーズはこちらにありますよ
結構最近に書いたと思ってたら半月前のお話でした・・・^^;
今年もあと3ヶ月くらいで終わっちゃう・・・
時の流れは早いものである
今回の記事と前回の記事を読んでストレッチして日々の生活の質を高めていってくれたら幸いです
それじゃ今回も・・・
目次
- 筋肉痛に効くのか?
- 運動直前ストレッチはダメ?
- 硬いから痛いとか凝ってるとかいうわけでもない
- 筋肥大にも効果がある?
- 腕を伸ばすと脚の筋力もつられて落ちる
- 片方だけ伸ばしても両方に影響がでる
- 今日が一番若い日
- 伸ばす方向はそんなに気にしなくていい
- 筋肉が硬いのは悪いことばかりじゃない
- まとめ
筋肉痛に効くのか?
筋トレをした後に筋肉痛が出た時に感じることで「ストレッチが足りなかったかな?」と思うことはありませんか?
私はあります・・・(ねずみ風)
そんなわけで、筋トレが終わった後でしっかりとストレッチをしています!!・・・という人はもしかしたら無駄骨かも知れません
筋肉痛が起きるメカニズムは、激しい動きや慣れない動きをした時に、筋肉を構成する筋繊維や筋肉を包んでいる筋膜が軽く傷ついて起こるという意見が支配的です(まだちゃんと解明されてない)
運動の前後に入念なストレッチをしていても、激しく動いたり慣れない動きをすると筋肉痛は来るというわけ
やらなきゃ気が収まらないという人は入念なストレッチをしてもいいけど、筆者的にはさっさと栄養を補給して風呂入って寝た方が筋肉痛は解消しやすいんじゃあないか?と思います
こちらにも似たようなこと書いてる
運動直前ストレッチはダメ?
運動の前に長いストレッチはしたらダメだよ!!っていう意見は2011年ごろから徐々に浸透してきました
筋力やパフォーマンスを十分発揮するには、筋肉にある程度の硬さ(反発力)が求められます
特に、1つの関節だけを使った単関節運動では、ストレッチすればするほど筋力もパフォーマンスも落ちていきます
アームカールやレッグエクステンションなどの筋トレを行う時は直前の長めのストレッチよりも軽い負荷で準備運動をした方がいいかも知れませんね
だからって運動直前の長めのストレッチを死んでもやるなってわけじゃないです
運動直前のストレッチが筋力の低下やパフォーマンス低下につながるのは事実ですが、逆にいうと短めのストレッチ(30秒未満)ならマイナス要素は少ないというわけです
あと、長時間のストレッチによる筋力とパフォーマンス低下も10分くらいで回復します
ストレッチ後に軽いジョギングなんかをしたら5分くらいで回復するということもわかっています
競技直前に慌ててストレッチをするのはやめた方がいいが、競技開始までに10分以上の時間的余裕があるなら、長めにストレッチをしても問題がないというのが現代の最適解となります
硬いから痛いとか凝ってるとかいうわけでもない
治療をしているときによくあるのが・・・
硬いですか?と聞かれて、硬いですねぇ!!という返答をするとなぜか喜ぶという現象ですwww
凝りや痛みがある筋肉は大体硬いことが多いです
だから、筋肉が硬いからこりや痛みが出るんですよ・・・と考えたくなりますが、そんなに単純なこともありません
筋肉の硬さを測る機械で調べると、筋肉の客観的な硬さレベルと、凝りや痛みといった主観的な訴えは一致するとはいえないのだそうな
肩や首はパンパンなのに本人は別にそんなに気にしてなかったり、逆に腰の筋肉は柔らかいのにめっちゃ腰痛だったり・・・
筋肉と関節の柔軟性を高めて、負担の少ない姿勢をとるのは重要なのですが、こりや痛みにはメンタルによる影響も結構関係しているので、筋肉や関節だけが悪いなんてこともないのです
硬いから痛いではなく、痛いから動かさない、動かさないから硬くなるというパターンもあるので、ちょっと動かしてみて痛みが改善するようなら積極的に動かして、痛みがひどくなるなら安静にしていく方がいいというのが現代の最適解です
筋肥大にも効果がある?
ストレッチは筋トレやダイエットなんかよりもやりやすいものだというのが筆者の見解ですがいかがでしょうか?
よく聞かれるのが、ストレッチしたら筋肉は発達しますか?ってやつです
結論からいうと筋肉はつきます
だが、ストレッチで筋肉をつけようとすると1日15分以上も同じ部位を伸ばし続けないといけません
それなら筋トレした方が短時間でストレッチ以上の筋肉を鍛える効果が得られます
ストレッチしたらダイエットになりますか?ってやつも同じです
ストレッチは安静にしている時の2〜3倍のエネルギーを消費しますが、それだけで減量するっていうのはハサミで蕎麦を食べるようなもんです(難しいってことね^^;)
ウォーキングしたり走ったりすると4〜10倍のエネルギー消費なのでどうせやるならこっちの方がいいし、ストレッチと合わせてやったら効果は未知数ですよ^^
腕を伸ばすと脚の筋力もつられて落ちる
運動直前のストレッチは筋力や運動パフォーマンスが下がるっていうのは先ほども述べましたね
じゃあ脚を使う競技なら腕をストレッチするのはいいんじゃあないか?(ジョルノ風)
答えはNOです
これが人間の体の不思議なところで、運動と直接関わらない筋肉をストレッチするっていうのも、筋力やパフォーマンスの一時的な低下を招くことがわかっています
理由は、ストレッチで自律神経の筋肉を弛緩させる副交感神経が優位になることが考えられます
副交感神経の影響はストレッチした筋肉だけじゃなく、全身の筋肉にも影響が出てきて、筋力やパフォーマンス低下にも影響が出るのでしょう
なので、100m走の競技直前になんか緊張して落ち着かないからって走りとは関係ない肩とか腕のストレッチをしたりすると、肝心の筋肉の出力が落ちてしまって調子が出なかったりします
競技直前は交感神経を優位にする動的ストレッチをメインに行いましょう
片方だけ伸ばしても両方に影響がでる
トレーニングには大きく以下の2つのものがあります
- 左右の手足を同時に使う「バイラテラル・トレーニング(両側性運動)」
- 片方ずつ鍛える「ユニラテラル・トレーニング(片側性運動)」
日向小次郎みたいに右ばっかり強いっていうよりも、大空翼みたいに左右どっちも同じくらい鍛えるというのがやっぱりバランス的にはいいですよね
さて、怪我や故障をした時っていうのは左右偏りなくトレーニングできませんよね
そんな時に役立つ知識、自由に動かせる方だけストレッチしておくと、反対の動かせない方の柔軟性もアップするという効果です
理由は、柔軟性がアップするには閾値が深く関わっているからです
自由に動かせる方の閾値をアップさせれば、反対の柔軟性もアップするという単純な脳のお話なのです
閾値の話は前回のストレッチ記事にて掲載してます
今日が一番若い日
筋トレを行うと、80歳でも90歳でも筋肉は肥大します
あの金さん銀さんも筋トレをしていたというのは有名なお話です(そういっても筋トレしない人がほとんどなんよね)
ストレッチによる柔軟性アップで大きな役割を果たすのは、筋肉や関節より、痛みの閾値を決める脳です
脳さえ働けばストレッチは何歳から始めても遅くはないです
100歳以上で筋トレしたりストレッチして柔軟性や筋力がアップしたっていう研究は極めて少ないですが、少なくとも80〜90代まではストレッチによる柔軟性の回復は期待できそうな感じです
当然ですが、筋トレとストレッチはセットでやる方がいいです
伸ばす方向はそんなに気にしなくていい
胸の筋トレをする時大きく分けて上中下の3方向にかけてトレーニングをしないといけません
ストレッチも同じように方向を考えてしないといけないのでしょうか?
答えは、気にした方がいいけどそんなに気にしなくてもいい
ストレッチの対象となる筋肉(骨格筋)は、関節をまたいで骨と骨にくっ付きます
そのくっついている部分を「起始」「停止」といいます
起始と停止が同じなら、大きくて分厚い筋肉も1つのポーズで全域を伸ばすことが可能となります
起始と停止が多少違っても、角度や方向を変えて何回もストレッチしなくても大体OKなのです(細かくいきたい人はやったらいいよ)
筋トレでも大胸筋はベンチプレスで、大腿四頭筋ならスクワットで大体OKってのと同じ理論です
ここで一番大事なのは的確な刺激を与えることで、筋トレなら負荷、ストレッチなら120秒伸ばし続けることを重視しよう
筋肉が硬いのは悪いことばかりじゃない
体は柔らかけりゃいいのでしょうか?
答えは、そうでもない
硬い方がいいって場合もあります
例えば、お腹が痛い時無意識にお腹に力を入れて、筋肉の収縮を促進して固めようとします
これは「筋ガーディング」というもので、日本語では「防御性筋収縮」です
痛みがあるのにガンガンに動かすと、痛みが余計にひどくなることもありますよね
それを防ぐ反応がこの「筋ガーディング」なのです
ぎっくり腰になった時腰まわりがガチガチに固まって動かなくなるってことがあると思います
これも痛いから動かさないで!!っていう無意識の筋肉の硬直なのです(だからほぐしたりすると余計に痛くなるのです)
このように短期的には筋ガーディングは有効ですが、痛みが取れてきたら、筋肉を動かして柔らかくするストレッチに移行します
そうしないとカラダが固まったまま動かなくなってしまいますからね
まとめ
筋トレ後のストレッチでは筋肉痛はあまり予防できないという考えが支配的
競技直前に慌ててストレッチをするのはやめた方がいいが、競技開始までに10分以上の時間的余裕があるなら、長めにストレッチをしても問題がないというのが現代の最適解
凝りや痛みがあるからといって筋肉が悪いってわけじゃなくメンタルなんかも関係する
硬いから痛いではなく、痛いから動かさない、動かさないから硬くなるというパターンもあるので、ちょっと動かしてみて痛みが改善するようなら積極的に動かして、痛みがひどくなるなら安静にしていく方がいいというのが現代の最適解
ストレッチで筋肥大は同じ時間筋トレするよりタイパが悪い
競技直前に競技に直接関係ない部位をストレッチすることで副交感神経が優位になり筋力の低下やパフォーマンスの低下が起こることがあるので、競技直前では動的ストレッチで交感神経を高めよう
怪我や故障で動かせない場合でも、片方の動く方だけでもストレッチをすると閾値が上がって動かせない方の柔軟性もつられてアップする
ストレッチは何歳からでも有効で、筋トレと合わせてやるといいです
ストレッチは起始と停止が大体一緒なら方向は考えなくてもざっくり伸びるのでしっかりと120秒伸ばしましょう
痛い時は筋肉が硬くなって一時的に動きを制限する、それにより痛みの早期改善を促進する
That’s all I want to say today
I love you for reading till the end
それじゃ・・・
書いてる人
著者近影
広島県の福山で筆者は国家資格である天才柔道整復師として身体の不調や痛みの原因を根本治癒させるために、今まで数万人の患者さんの治療を行なってきました。そんな中、筋 肉やトレーニングだけでなく、栄養や生活習慣の面からも改善しないと根本治癒できないと考え研究を行っています。「運動・休養・栄養」の3つの柱で患者さんの生活の質の向上を考え治療活動中です。海原雄山・北大路魯山人と並ぶ自他ともに認める天才美食家。
組織のトップの仕事は3つだけ・・・
- 決断すること
- 任せること
- 責任を取ること